※税務署から相続申告案内が届くのは約半年後
「相続税の申告案内」や「相続税の周知文」が
税務署から届くのは相続開始から約半年後です
人が亡くなると、死亡届を受理した市町村長は、相続税法58条に基づいて亡くなった方の
住所地の所轄税務署に通知することになっています。
税務署は、故人の過去の給料や年金額、保険金の取得状況、不動産の所有の有無などから
相続税基礎控除を上回りなそうな方について死亡日から6~9ヶ月程度で『相続税の申告等に
ついての御案内』や『相続についてのお知らせ』を遺族に送付してきます。
これは、KSK(国税総合管理システム)による国民別の収入や財産についての情報整理が
幅広く及んでいることの表れと思われます。
「ご案内」と「お知らせ」の2種類
相続税の課税が見込まれる方に対して、税務署は相続税の申告を促す
「相続税の申告等についてのご案内(以下、相続税の申告案内)」や
「相続税についてのお知らせ(以下、相続税の周知文)」を郵送しています。
より具体的にいうと、
「相続税の申告案内」は相続開始から6か月後(相続税の申告期限の4か月前)
「相続税の周知文」は相続開始から7か月後(相続税の申告期限の3か月前)に送付されることが
多いようです。
たとえば、相続開始が5月であった場合、「相続税の申告案内」が届くのは11月ごろ、
「相続税の周知文」が届くのは12月ごろです。
「相続税の申告案内」や「相続税の周知文」は、ともに、相続税の課税が見込まれる方に税務署が
一定の書類を送付する取組ですが、これらの文書は送付される書類の内容のみならず送付対象者も
異なります。
「相続税の申告案内」とは
相続税の申告等についてのご案内
このたびの、〇〇〇〇様のご逝去に対し、謹んでお悔やみ申し上げます。
さて、お亡くなりになられた方の遺産の総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)
を超える場合、亡くなられた方から相続や遺贈によって財産を取得された方は、亡くなられた日の
翌日から10か月以内に相続税の申告と納税が必要になります。
つきましては、財産を取得された方等にご連絡いただき、同封の「相続税のあらまし」を参考に
申告と納税の必要があるかどうかを確認いただき、次の1または2に記載するところにより
「相続税の申告書」又は「相続税の申告要否検討表」の提出をお願いいたします。
1.お亡くなりになられた方の遺産の総額が基礎控除額を超える場合には、平成〇年〇月〇日までに、
亡くなられた方の住所を管轄する税務署へ「相続税の申告書」を提出し納税をしてください。
2.お亡くなりになられた方の遺産の総額が基礎控除額に満たない場合には、「相続税の申告書」の
提出は必要ありませんが、申告の要否を確認させていただくために、同封の
「相続税の申告要否検討表」の回答欄に該当する事項をご記入の上、平成〇年〇月〇日までに
当署資産課税(担当)部門へご提出くださいますようお願いいたします。
この「相続税の申告等についてのご案内」は、亡くなられた方の以前の過去の相続実績や所得税
申告などのデータから、税務署が「相続税の申告が必要だ」と思っている方に送付されます。
ですので、「相続税の申告等についてのご案内」が届いた場合には、まず、遺産の総額を確認
してください。
遺産の総額が基礎控除額に満たない場合には、相続税の申告書を提出する必要はありません。
しかし、その場合でも、税務署が「相続税の申告が必要だ」と思っていて、その確認のために文書を
送付してきている以上、「相続税の申告要否検討表」は提出しておいたほうがよいでしょう。
一方で、遺産の総額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告書を提出する必要があります。
配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例を適用でき、納税の必要のない場合でも相続税の申告は必要
です。
申告が必要な場合には、10か月以内に相続税の申告と納税が必要になります。
ただし、遺言書があったり、申告期限内に遺産分割が完了している場合には、期限後の申告でも
特例適用は可能ですので、特例適用で税額がゼロになる方については、税務署から問い合わせが
あってから申告しても延滞税や加算税は課されません。
相続税の申告を、税理士に委任した場合には、相続税の申告書に「税務代理権限書」が添付され
ますので、その後のすべての税務署からの通知は税理士経由で行われます。
「相続税の周知文」とは
相続税の申告が必要と見込まれる方以外で、相続税の申告をしなければならない可能性のある方に
ついては、「相続税についてのお知らせ」が送付されます。
相続税についてのお知らせ
このたびの、〇〇〇〇様のご逝去に対し、謹んでお悔やみ申し上げます。
さて、お亡くなりになられた方の遺産(土地、建物、株式や公社債などの有価証券、預貯金、現金
など)の総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合、その方から相続
や遺贈によって財産を取得された方は、亡くなられた日の翌日から10か月以内に相続税の申告と納税
が必要になります。
なお、相続税に関する具体的は計算方法や申告の手続などの詳しい情報は、国税庁ホームページの
『相続税・贈与税特集』サイトをご確認ください。同サイトでは「相続税の申告のしかた」を掲載
しているほか、「相続税の申告書」を出力することもできます。
また、当ホームページからは、「相続税の申告要否判定コーナー」で「相続税の申告要否検討表」が
作成でき、相続税の申告の要否のおおよその判定を行うことができますので、ご利用ください。
「相続税についてのお知らせ」が届いた場合の対応も、基本的には「相続税の申告等についての
ご案内」が届いた場合と同じに考えたほうがよいでしょう。
「相続税についてのお知らせ」は、税務署が「相続税の申告が必要かも」と思っている方に送付され
ます。
まずは遺産の総額を確認のうえ、遺産の総額が基礎控除額に満たない場合でも、後に確認の連絡が
入るという前提で、「相続税の申告要否検討表」を提出しておくか、またはすぐに提出できる状態に
しておくのがよいでしょう。
|