■延納の要件
(1)相続税額が10万円を超えること。
(2)納期限までに又は納付すべき日に金銭で一時納付することが困難であり、延納税額は
その納付を困難とする金額の範囲内であること。
※金銭で一時納付を困難とする金額(延納許可限度額)
@納付すべき相続税額 |
現金納付額 |
A納期限において有する現金、預貯金その他の換価が容易
な財産の価額に相当する金額 |
B申請者及び生計を一にする配偶者その他の親族の3か月
分の生活費 |
C申請者の事業の継続のために当面必要な運転資金の額 |
D納期限に金銭で納付することが可能な金額(これを「現金
納付額」)といいます)(A−B−C) |
E延納許可限度額(@−D) |
(3)担保を提供すること。(延納税額が50万円未満で、かつ、延納期間が3年以下
である場合は担保提供の必要はありません。)
(4)相続税の納期限又は納付すべき日までに延納申請書又は担保提供関係書類を
提出すること。
期間までに担保提供関係書類を提供することができない場合は、届出により担保関係
書類提出期間延長(最長6ヶ月)が認められます。(一度の届出によってできる期間は
3ヶ月以内です。)
|
■担保の種類と提供すべき書類 |
担保の種類に関係なく提供すべき書類 |
・担保提供書
・担保目録 |
担保の種類 |
@国債及び地方債
A社債その他の有価証券
で税務署長が確実と認め
るもの |
・登録国債
・登録地方債・社債
・上記以外
|
・登録国債担保権登録済通知書
・担保権登録済証等
・供託書正本 |
B土地 |
|
・抵当権設定登記承諾書(印
鑑証明書付)
・登記簿謄本
・固定資産税評価証明書 |
C建物、立木、船舶、自動車
などで保険に付したもの |
|
・抵当権設定登記承諾書(印
鑑証明書付)
・登記簿謄本
・固定資産税評価証明書
・保険証券(又は保険契約証書)
・質権設定承認書
|
D鉄道財団、工場財団、
鉱業財団など |
|
・土地に同じ |
E税務署長が確実と認める
保証人の保証 |
・保証人が法人 |
・納税保証書(印鑑証明書添付)
・商業登記簿謄本
・取締役会議事録
・決算書等 |
・保証人が個人 |
・納税保証書(印鑑証明書添付)
・源泉徴収票
・不動産登記簿謄本等 |
|
■担保不適格財産
@法令上担保権の設定又は処分が禁止されているもの
A違法建築、土地の違法利用のため建物除去命令等がされているもの
B共同相続人間で所有権を争っている場合など、係争中のもの
C売却できる見込みのないもの
D共有財産の持分(共有者全員が持分全部を提供する場合を除く。)
E担保に係る国税の付帯税を含む全額を担保としていないもの
F担保の存続期間が延納期間より短いもの
G第三者又は法定代理人等の同意が必要な場合に、その同意が得られないもの |
■必要担保の目安
延納税額+第1回目の利子税の額×3=必要担保額<担保の見積価格 |
■担保の見積価額
担保の見積もり価額は、時価を基準とします。(国債及び保証人の保証を除きます。)
種類 |
見積価額 |
国債 |
原則として、額面金額 |
有価証券 |
地方債、社債及び株式その他の有価証券に
ついては、評価の8割以内において担保提供
期間中に予想される価額変動を考慮した金額 |
土地 |
時価の8割以内において適当と認める金額 |
建物・立木及び各種財団 |
時価の7割以内において担保提供期間中に
予想される価額の減耗等を考慮した金額 |
保証人の保証 |
延納税額が不履行(滞納)となった場合に、保
証人から徴収(保証人の財産を滞納処分の例
により換価することによる弁済を含む。)するこ
とができると見込まれる金額
|
|
■相続税の延納期間と利子税の割合
→原則5年、最長20年、原則年3.6%かから最低2.2%
・不動産等が75%以上
不動産等に係る税額ー延納期間:20年以内ー利子税の割合:年2.2%
動産等に係る税額ー延納期間:10年以内ー利子税の割合:年3.3%
・不動産等が50%以上
不動産等に係る税額ー延納期間:15年以内ー利子税の割合:年2.2%
動産等に係る税額ー延納期間:10年以内ー利子税の割合:年3.3%
・不動産等が50%未満
すべての税額ー延納期間:5年以内ー利子税の割合:年3.6%
*利子税の割合は、基準割引率が0.5%の場合の割合です。
「不動産等とは」
・不動産
・不動産の上に存する権利(借地権)
・立木
・事業用の減価償却資産
・特定同族会社の株式や出資等
■審査期間
(1)許可・却下
延納申請書が提出された場合は、申請期限から3ヶ月以内に許可又は却下されます。
審査期間内に税務署長が許可又は却下をしない場合は延納の許可があったものとみな
されます。
(2)補完通知書
提出された書類に記載の不備があった場合等には、書類の訂正や追加提出を求める
「補完通知書」が送付されます。
提出期限は、受取った日の翌日から20日以内です。期限までに提出することができない
場合は届出により提出期限の延長が(3ヶ月の範囲内で最長6ヶ月)が認められます。
(4)担保変更等通知書
担保調査の結果、担保として不適格と認められるときは又は必要価額に満たないときは、
担保の変更又は追加を求める「担保変更等通知書」が送付されます。
提出期限は、受取った日の翌日から20日以内です。期限までに提出することができない
場合は届出により提出期限の延長が(3ヶ月の範囲内で再延長は6ヶ月まで)が認められ
ます。
(4)みなす取下げ
補完通知書(又は担保変更通知書)を最終の補完期間までに提出できない場合には、
その延納申請は却下されることになります。
|
■延納条件の変更・物納への変更
延納許可後に資力の状況に変化(相続財産を計画どおりに譲渡できない等)があったこと
等のために、許可された延納条件では延納することが困難な場合には、延納条件の変更
を申請することができます。
延納条件の変更を行っても延納を継続することが困難なときは、申請期限から10年
以内に限り、物納に変更することができます。
|